最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)1913号 判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人安田進の上告趣意について。
原判決は、被告人が「土橋一雄保管の生ゴム」約六貫匁を窃取したことを判示しているだけで、第一審判決のように右の生ゴムが人の所有物であったことを認定してはいない。しかし窃盗罪が成立するためには、他人の管理に屬する財物を窃取することを以て足り、その財物が何人の所有に屬するかは問うところでないから、原判決には論旨一に主張されているような審理不盡の違法はない。(その他の判決理由は省略する。)
この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)